古い水夫たち

2019年6月年金問題が再浮上してきました。
あまりにも、あまりにも・・・な議員さんたち。
以降の文章は2007年に掲載したコメントです。

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吉田拓郎が1970年にシングルリリースした「イメージの詩」。古い古いその歌詞の一節が最近みょうに気にかかっている。1995年リリースされたアルバム「古い船を動かせるのは古い水夫じゃないだろ」のタイトルになったその歌詞である

いま、起業家が持て囃されそれぞれの分野で新しい海に漕ぎ出している。わが国の経済発展の一翼を担い、また期待されてもいる。しかし次代を担う新しい船長に脚光が集まる中、その船長やかつての船長に不祥事が多発している。

消費者や高齢者の生活を省みない、政治家や企業の行いはここ数年枚挙にいとまがない。それは幾多の困難を乗り越え母港で船を下りた古い水夫たち、その安住の地が足元から揺らいでいる。5000万件にも上る宙に浮いた年金納付記録である。

永く続いているべき人生の航跡を余りにも単純なミスで消し去られてしまった。その無念さは察して余りある。
永い旅の末、許されるべき生活を蝕む新しい荒波が打ち寄せ、もはや古い水夫はかつての航海を懐かしむ事無く、新たな出航を余儀なくされた。永い航海の末の苦さと培った英知を友とし。

長い詩の中、その一節はこう結ばれている「古い水夫は知っているのさ 新しい海の怖さを」と。
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2019年6月、航海を共にしていたはずの船長は海図を捨て去り、燃料が残っていないとの手紙を古い水夫の手元に残し船を降りた。

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